美しい自然と海岸美に恵まれた由良町。冬に同町を訪れる魅力のひとつが、各旅館でクエ料理を堪能することである。近年、漁獲量が減少し「幻の魚」とも呼ばれているクエ。むっちりと弾力がある白身、薄いピンク色が食欲をそそる。外見はグロテスクだが上品な味わいで、コラーゲンたっぷりのプルプルしたゼラチン質の食感に魅せられる人は多い。身だけでなく皮やヒレ、アラも食すことができ、それぞれの異なる食感が舌を楽しませてくれる。クエは「鍋料理の王様」と別名を持つように、まさに鍋物にはうってつけの食材。"一度食ったら、ほかの魚はクエん"と駄洒落を言いたくなるほどの至高の味わいがある。これから旬を迎える、脂が乗ったクエをいただく贅沢なひとときを、ぜひとも過ごしてほしい。